(トヨフジ海運株式会社のHPより転載)

 アベノミクスの目玉の一つであった円安が定着してきました。

 しかし、貿易赤字は大きくなるばかりです。2012年の赤字は6.9兆円、2013年の赤字は11.5兆円となりました。

 原発が稼働しない中、エネルギー価格と円安のおかげでの輸入額が増えているので仕方がないという説明を聞くことがあります。

 本当にそれだけでしょうか?

 実は、昨年2013年の原油や天然ガスなどの鉱物性燃料の輸入額25.9兆円は、2008年の25.8兆円とほぼ同額です。

 2008年の円建ての鉱物性燃料の輸入単価は2013年とほぼ同額でした。輸入数量は2008年の方が多かったくらいです。

 それでも、2008年の貿易収支は2.1兆円の黒字でした。

 なぜ、2008年と2013年でそんなに大きな差があるのでしょうか?

 ひとえに、輸出が減っているからです。

 円安になったのにも関わらず、2012年、2013年と引き続き、輸出数量は右肩下がりです。

 金額で、2008年と2013年の数字を比べてみましょう。

 自動車などの輸送用機器で、マイナス3.8兆円、電気機器でマイナス3.3兆円、一般機械でマイナス2.5兆円となています。

 2008年はリーマンショック前ですから、輸出が絶好調でしたが、それにしても、2013年はあまりにも輸出がさえません。

 それは、自動車をはじめ海外生産が本格化してきたからです。この流れは、円安になっても変わりません。

 2013年度の海外生産比率(見込み)は21.6%で、5年後の見通しベースでは25.5%です(内閣府「企業動向に関するアンケート調査」、2014年2月28日)。

 その傾向は、最終製品だけではなく、部品産業にまで及んでいます。

 ASEAN向けの自動車部品の輸出数量は今年の6月、前年比マイナス22.3%も落ちこみました(日本経済新聞2014年7月25日朝刊、第5面)。

 円安になれば、日本からの輸出が増えて、景気にプラスになるというのは昔話であり、今では、単に日本全体の購買力が落ちて、貿易赤字が増えるだけです。

 安倍内閣は、時代錯誤の円安政策をいつまで続けるつもりなのでしょうか?

 日本経済の構造変化に早く気付くべきだと思います。