(国家財政を考える会の模様。左端が講師の伊藤元重教授、右端が周平。)

 今日は、議員連盟「国家財政を考える会」の第1回勉強会が開催されました。玄葉光一郎財務金融委員長が代表世話人。理事の私が事務局を担当しています。

 このブログでも何度も書いてきましたが、日本をギリシャにするわけにはいきません。財政規律を取り戻さないとこの国はたいへんなことになるという危機感を共有する勉強会を立ち上げました。

 議員本人の出席が115人、代理の秘書さんが65人、合わせて180人の参加となりました。

 講師は伊藤元重東京大学教授です。伊藤先生には20年来、ご指導をいただいています。新進気鋭の助教授時代からです。最初に出会ったのは、松下政経塾での勉強会だったと記憶しています。

 今日も、鋭い語り口で財政再建の必要性を語ってくださいました。以下、伊藤先生の講演概要です。

・ギリシャの教訓:市場が国債を引き受けなくなったとき、政府にできる対応策は限られる。増税や歳出削減を行おうとしても、国民がそれを容認しようとしない。

・国債バブル:金融機関は国債リスクを心配している。実際に国債価格が下がり始めるリスクが出てくれば、償還までの期間の短い国債に乗り換えることでリスク回避しようとするだろう。

・金融政策でできることには限りがある。デフレは財政再建の上で大きな障害ではあり、穏やかなインフレが好ましいが、金融政策だけでそうした状況を作り出すことが可能であるかどうかは疑わしい。

・国債に大量の資金が流入していることが国債金利を低く抑えている背景にある。ある意味で景気低迷が日本の財政運営を楽にしていると言ってよいだろう。しかし、景気が拡大していくと、大量の国債の存在が市場金利を引き上げる重要な要因となりかねない(クラウディング・アウト)。

・財政状況の厳しさが、結果的に医療・介護などの社会福祉の本格的な改革を起こらせている。そうした状況を国民が不安に感じ、結果的に国民は過剰な金融資産を保有している。つまり消費が抑えられている。GDP比の(ネットでの)家計金融資産比率は、ドイツやフランスが200%、英米で300%であるのに対して日本は400%である。NIRA(総合研究開発機構)の試算によると、日本人が老後の生活などを維持するのに必要である以上にため込んでいる過剰貯蓄はおおよそ100兆円となっている。

・基礎収支の黒字化を中期目標に:明確な財政健全化プランを提示することで市場を沈静化させる

・増税は必ずしも景気を悪くするものではない:ケインズの均衡財政乗数の理論(A円の増税と同額の歳出増は有効需要をA円だけ増加させる。乗数は1となる)。
・戦略的な増税のあり方:タイミング、規模など

・将来不安を解消することの景気刺激効果

・日本の成長戦略と整合性を取れる税の設計が重要:北欧のような社会民主主義国家でも法人税は引き下げて国際競争力の強化を図っている。また、地方所得税はフラットな30%前後になっており、消費税も非常に高い。一方で所得再分配や貧困対策は歳出(社会保障、教育)で行っている。

以上、今日の先生の配布資料からの抜粋です。