今週はあいさつ回りの合間をぬって、読書の時間を作りました。郷原信郎さんの「法令遵守が日本を滅ぼす」(新潮新書、2007年1月)はとてもおもしろかったです。郷原さんは、検事出身で、長崎地検の次席検事の時に。大掛かりな談合汚職事件を摘発して有名になりました。私が役人時代の仲間で、いつも霞ヶ関改革の悪だくみをしていました。

 今は、検察庁を辞めて、桐蔭横浜大学のコンプライアンスセンター長として在野で活躍中です。和歌山県の談合汚職再発防止の責任者になって、日当6千円でもう8回も和歌山に来てくれています。「みのもんた」さんのTBS番組での「不二家をめぐる虚偽報道問題」で抗議をした勇敢な人だといえばご存知のかたもおられるでしょう。

 彼から、「コンプライアンス」を「法令遵守」と訳すのは間違いで、社会の要請にこたえることがコンプライアンスであると、数年前から、耳にタコができるほど聞かされていました。要するに、社会が求めていることが法律になるには時間がかかるから、法令を守っていてもだめで、今そこにある社会の要請にこたえる義務が企業にはあるんだという考え方です。この新書を読めばすっきり理解できますので、ぜひご一読をおススメします。

 今日、久しぶりに郷原さんにお会いし、「郷原節」を聞かせてもらいました。不二家の問題では、意気軒昂で、「虚偽報道で泣き寝入りするようなことのないよう頑張りたい。」と言ってました。私が経済産業省でメディアコンテンツ課長をしていた時に、下請けのプロダクションいじめをするテレビ局と戦った経験があったので、巨大な権力を持つ放送会社との付き合い方を議論しました。

 プロダクションいじめのケースでは「下請け代金等遅延防止法」という具体的な武器が経産省側にありましたし、独占禁止法の「優越的地位の濫用」という伝家の宝刀がありましたが、今回の「虚偽報道」事件では、なかなか戦うツールがありません。結局、放送会社の内部でのコンプライアンスの問題として戦うしかありません。郷原さんのご活躍を祈ります。
 
 もう一冊、山田昌弘さんの「少子社会日本―もうひとつの格差のゆくえ」(岩波新書2007年4月)も、将来の日本を考えるのに役立つ(やや悲観的になってしまいますが、、、)本でした。