衆議院議員 岸本周平 Shuhei Kisimoto Official Website

2015年07月

優しいリアリズムを目指して

(佐々木俊尚著、「21世紀の自由論」、NHK出版新書)

 フリージャーナリストの佐々木俊尚さんは、反権力という立ち位置のみのリベラルを批判し、「優しいリアリズム」を追及することを説いています。

 著者は、日本でのいわゆる「リベラル」と「保守」は、国際的な定義と逆行しており、それぞれに矛盾を抱えていることを説明します。

 本来、リベラルは、一国平和主義を取らず、理想のために他国に戦争に行くものだし、経済政策では大きな政府でりフレ政策や積極財政主義です。

 日本のリベラルは、真逆です。戦争前でも、保守の政友会が積極財政、リベラルの民政党が緊縮財政でした。

 一方、日本の保守がよって立つ、伝統や歴史にも根拠はありません。家族の大切さを説きますが、江戸時代でも核家族は4割以上で、男性の単身世帯も多かったのです。

 また、「親米保守」は自己矛盾です。アメリカが追及する個人の自由やグローバリゼーションの考え方は、日本の保守の考え方とは対立します。

 つまり、今や、リベラルと保守の対立軸は有効性を失っていると著者は指摘します。

 その背景にあるのは、ヨーロッパ由来の自由や平等という理念が崩壊しているとの認識です。

 そのような不毛な対立を止め、外交安全保障や原発問題などリアリズムの立場に立ちつつ、そこに情を通わせる「優しいリアリズム」が重要だと指摘します。

 たとえば、非正規でも正規でもない働き方、「限定正社員」のような働き方を是認します。

 著者は、「優しいリアリズム」の前提として、経済の成長が必須だと考えます。

 成長がない時代の新しい生き方を長期的に模索することは大切だが、そういう生き方は誰にでもできるわけではないという達観です。

 一部の能力のある人だけではなく、すべての国民が生きていけるような社会をつくるめに、政治家にはリアルな戦略が求められるとしています。

 リベラルだ保守だとの単なるレッテル張りではなく、価値観の多様性を認めながら、共生していく穏健で中道的な政治姿勢が重要であるというのが、読後感として残りました。
 


 

穏健中道のリベラル保守政党は作れるのか?

(中野晃一著、「右傾化する日本政治」、岩波新書)

 中島岳志著、『「リベラル保守」宣言』の触発され、穏健中道のリベラル保守政党を作らなければならないと思い詰めて活動してきました。

 しかし、多忙な国会での業務に加え、週末の街頭演説、ミニ集会などの合間では、なかなか理論構築のいとまがありません。

 やはり、専門家を招いて、理念の構築を行うしかないのではないかと思うようになりました。

 そんな中、中野晃一著、「右傾化する日本政治」(岩波新書)は、大きなヒントを与えてくれました。

 著者は、55年体制下での自民党保守本流を中心とする旧右派連合の成功の要因を「開発主義」と「恩顧主義」に整理し、一方で、革新勢力が持った「三分の一」の役割と限界を示しています。

 しかし、開発主義で得た利益を恩顧主義に使うという、旧右派連合の金銭的コスト負担に関する国民意識が壊れるとともに、旧右派連合も破たんする。それは、赤字財政と、金権選挙による腐敗政治として現れました。

 その後、旧右派連合の枠内で中曽根総政権が新右派転換を行い、「新自由主義」と「国家主義」に裏打ちされた新右派連合の時代に突入します。

 そして、自社さ政権による革新側のささやかな揺り戻しの後、国際協調主義が影をひそめ、歴史修正主義のバックラッシュが始まります。

 新右派転換の集大成としての小泉政権下では、靖国参拝、排外主義、ジェンダーバックラッシュが起き、著者は「政治の新自由主義化」と説明します。

 そして、「反自由の政治」としての第1次安倍政権が成立。

 その後の、民主党政権の誕生も、民衆的な基盤を欠いており、「民主的刷新なき自由化」に過ぎなかった。致命的な民主的基盤の弱さから、民主党は「総崩れ」し、雲散霧消。

 第2次安倍政権では、軍事、経済面での対米追随との引き換えに復古的国家主義がどこまで通用するかというチャレンジが行われています。雇用劣化と格差社会を作り、歴史修正主義と排外主義が進んでいます。

 著者は、このような右傾化に対抗するため、自由主義(リベラル)勢力と革新(左派)勢力の連合を説きます。

 そして、リベラル勢力には新自由主義との訣別、国際協調主義のなかの節度を持った対米協調、同一性にもとづく団結から他者性を前提とした連帯により、民衆的基盤を広げるべきだと提言しています。

 一方、左派勢力には自由化・多様化をいっそう進めることを提言。 

 リベラル保守の立場からは、にわかに左派勢力との連携を肯定できませんが、中野教授の論考には大いに触発されました。

輝く女性ー地球環境ファシリティ石井菜穂子CEO

(地球環境ファシリティの石井菜穂子CEO)

 日本政府は女性が活躍できる社会の実現を進めています。

 その趣旨には大いに賛同しますが、そのパターナリスティックな手法にはいささか疑問を持っています。

 そんな中でも、 地球環境ファシリティ(GEF)の石井菜穂子CEOは、本人の才能と努力に加え、財務省が国際派のリーダーを育てるために応援してきた方です。

 彼女は私の一年後輩ですが、キャリアのほぼ半分を世界銀行、IMFなどの国際機関で勤務。

 2012年8月から地球環境ファシリティ(GEF)のCEOとして活躍されています。

 GEFは、生物多様性や気候変動などの問題に対処するため、1991年の設立以来、165か国で3200件以上のプロジェクトを実施し、115億ドルの資金を投資している国際機関です。

 今日は、石井さんの朝食勉強会に参加してきました。

 石井さんは、世界規模の低炭素経済成長(Green Growth)を南北問題とせず、かつ、政府と民間の協力で実現するためのプラットホーム作りに奔走中。

 低炭素成長への転換のためには、次の4つのポイントが重要だと教えてもらいました。

 ①持続的な都市計画
 ②一次産品の供給チェーンの持続可能性
 ③アフリカの食料安全保障
 ④産業界との省エネ・イニシアティブ

 特に、一次産品では、木材の違法伐採による原生林の消失による二酸化炭素の排出量は、運輸関連産業の排出量と同じ規模であり、大きな関心が払われるべきとのことです。

 今、民主党の農林水産部門会議の中で、違法伐採の禁止に関するワーキングチームをつくって検討している課題でもあります。

 さらに、アジアでの灌漑、肥料を使った農業開発が深刻な土壌問題を引き起こした経験から、アフリカでの農業開発の進展が課題です。

 このような問題について、日本政府も関わってきてますが、今後はさらに積極的に貢献する道を考えるべきです。

夏祭り

(和歌浦天満宮の夏祭り)

 この週末は夏祭りのはしご。

 地域の自治会のお祭りに加え、老人ホームや障がい者関係の施設などでも夏祭りが重なります。

 25日の土曜日は、全国的にも「天神祭」の日です。

 和歌浦天満宮の天神祭にも参列させてもらいました。


 901年に菅原道真が大宰府に向かう途中、海上の風波を避けるために和歌浦に船を停泊。

 その時、道真公は、今、神社がある天神山から和歌浦を望み、2首の歌を詠みました。

 そのご縁で、村上天皇の御代(964 - 968年)に参議橘直幹がこの地に神殿を建てたという由緒ある神社です。

 地元和歌浦地区の皆さんが大事にしている守り神です。

 天神祭と言えば、「暑さ」が代名詞。和歌浦も暑かったですが、天神山の上は海風が吹いて、けっこうしのぎやすかったです。

(夜の夏祭りでのごあいさつ。)

 昼間は、少しでも時間があれば、街頭演説をしていました。

 夜は、夏祭りの会場を走り回ります。

 いろんな施設のお祭りは、地元の皆さんとの交流の場にもなります。

 夏祭りは、子どもさんだけではなく、大人もウキウキしますよね。

 ユニバーサルな世の中になっていければと、心から願いながら毎年参加させてもらっています。

李登輝ー指導者とは何か

(李登輝元総統からいただいた木製の文鎮。)

 李登輝元台湾総統が国会議員会館で講演をされました。

 私を含めて300人近い衆参両院の国会議員が拝聴。

 92歳とは思えない朗々としたお声と、格調の高い演説に感動しました。

 今なお、台湾の民主化を進めるための改革のために頑張るんだという志に圧倒されました。

 政治家としてリーダーとして、その情熱と品格に敬意を表します。

 ご著書の「指導者と何か」、PHP文庫、2015年5月15日も拝読しました。

 いただいた文鎮の「我是不是我的我(私は私ではない私)」という言葉は、死と表裏一体の意義ある人生をおくるための、李登輝先生にとっては、いわば座右の銘のような言葉です。
 
 敬虔なクリスチャンであり、また、日本の旧制高校の教養主義の下、東西の古典、特に哲学に造詣の深い李登輝先生が、「私ではない私」を追い求めることによって、個人の持つ自我を排除し、客観的な立場で物事の正しい解決策を考えられるよう導かれたと書かれています。

 いろんな気付きを起こさせる名著ですが、目からうろこが落ちたものは次の箇所です。

 吉田松陰が拳拳服膺した孟子の言葉「至誠にして動かざる者は、いまだこれあらざるなし。」の解釈を、「相手にわかる言葉で説く」ということとしています。

 誠を態度で示すだけではいけない、あくまでも、相手に分かる言葉で説得するんだというのは、政治家としての真骨頂です。

 また、勇気には忍耐が必要だということを示すために、昭和天皇の御製「ふりつもる み雪にたへて いろかへぬ 松ぞををしき 人もかくあれ」を示しています。

 その他、「恨まれ役」を引き受けることや、部下の尊厳を重んじることなど指導者としての心得をわかりやすく説いています。

 李登輝先生の肉声をお聞きし、ご著書も読んで、今後も、政治家として生きていく覚悟を固めさせていただきました。

 李登輝先生有難うございました。

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